【米国発】ステーブルコイン規制「GENIUS法案」可決の可能性と、その重要性

米国上院で注目されている暗号資産規制「GENIUS法案」が、2025年5月26日(メモリアルデー)までに採決される可能性が出てきました。共和党のシンシア・ルミス上院議員、民主党のキルステン・ジリブランド上院議員が暗号資産業界のイベントで前向きな見解を示したことを受け、市場関係者の関心が高まっています。

目次

GENIUS法案とは?

GENIUS法案(正式名称:Guaranteeing Ethical and Neutral Implementation of Unified Stablecoins)は、米国における*ステーブルコインの発行と流通を規制する枠組みを定める法案です。暗号資産市場で流通する「デジタルドル(USDペッグ型のステーブルコイン)」に対して、透明性や安全性を担保する目的があります。

*ステーブルコイン:米ドルなどの法定通貨に価値を連動させた暗号資産。DeFi(分散型金融)やNFT決済、クロスボーダー送金の基盤として広く使われている。具体例としては「USDT(テザー)」や「USDC(サークル)」など

最新動向:政治的対立を超えて前進か

かつて法案の草案には、トランプ前大統領やその家族の暗号資産関連ビジネスを牽制する条項が含まれていたとされますが、最新版ではこうした政治的対立要素が削除され、業界ルール整備に集中した内容になったと報じられています。

ジリブランド議員は「この法案はトランプ氏の倫理問題を扱うものではなく、ステーブルコイン全体の信頼性を担保するための規制」と強調。与野党が歩み寄りを見せており、採決の現実味が増しています。

GENIUS法案の主な内容(想定)

※以下は報道や議員発言に基づく内容であり、正式な条文ではありません。

  • ステーブルコイン発行体に対する登録ライセンス制度の導入
  • 準備資産の保有義務と、会計監査などによる透明性の確保
  • ユーザー保護のための返金対応や破綻時補償スキームの明示
  • 州と連邦間の規制の整合性(*プリンシプルベースの一元管理)

*プリンシプルベース:詳細なルールや禁止事項を列挙するのではなく、基本的な原則や価値観に基づいて規制や判断を行うアプローチで、規制に対して解釈の幅と柔軟性をあえて持たせることにより、イノベーションの阻害を防ぐ

なぜステーブルコイン規制が重要なのか?

1. 信頼性の確保

ステーブルコインは「1ドル=1コイン」を保証する前提で流通していますが、過去には裏付け資産が不透明だったり、運用が杜撰だったりする事例がありました。透明なルールがなければ、価格乖離や取り付け騒動のリスクが高まります。

2. 消費者保護の強化

Terra/LUNAの崩壊のように、価値が突如ゼロになるような事例では、個人投資家が大きな損失を被りました。法的枠組みがない限り、ユーザー保護は自己責任に任され続けることになります。

3. 金融システムとの接続性

ステーブルコインはすでにDeFi、クロスボーダー送金、国際決済で活用されています。今後、銀行や決済システムとの接続を進めるには、信頼性のある法的基盤が不可欠です。

4. グローバルな競争力確保

EUでは*MiCA規制、日本でもステーブルコイン発行ルールが法制化されつつある中、米国がルールを出すことは「国際標準」を争う上でも極めて重要です。

*MiCA規制:EUの暗号資産規制「MiCA(Markets in Crypto-Assets)規則」は、欧州連合(EU)全体で統一された暗号資産(仮想通貨)の規制枠組みを提供するもの

まとめ:規制はイノベーションの土台

ステーブルコインのように金融と密接に関わる技術は、無秩序な自由よりも、一定の規律と信頼の下でこそ発展します。GENIUS法案は「米国版ステーブルコイン規制」の第一歩であり、今後のイノベーション基盤として大きな意義を持つ可能性があります。

※(想定)について:本記事に記載のGENIUS法案の内容は、2025年5月時点の議員発言や報道をもとに構成された「想定内容」です。正式な条文が公開され次第、内容を更新いたします。

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