✅ はじめに:もはや「半減期後=暴落」は常識ではない?
ビットコイン市場における「半減期サイクル理論」――
これは「半減期の翌年にピーク→暴落」という過去のパターンに基づいた通説で、多くの投資家がそれを前提に売買してきました。
しかし、2024年春の第4回半減期を経て迎えた現在のビットコイン市場は、過去のサイクルとは明らかに異なる構造を持っています。
しかも、2025年1月に再びトランプ政権が発足したことにより、仮想通貨市場には制度的追い風も強まっています。
このような背景から、「2025年秋〜冬にかけてブル相場がピークを迎える」と言われつつも、過去のような**“冬の時代”=80%暴落**が本当に起きるのかは再検討が必要です。
📊 1. 過去3回の半減期サイクルと「暴落の黄金律」
半減期 | 翌年のピーク | 最高値 | 下落幅 |
---|---|---|---|
2012年 | 2013年 | 約$1,000 | -80%超 |
2016年 | 2017年 | 約$20,000 | -84% |
2020年 | 2021年 | 約$69,000 | -77% |
このように、ビットコインは半減期翌年に価格が爆発的に上昇し、その後80%前後の暴落に見舞われるというパターンを繰り返してきました。
しかしこの「黄金律」は、2025年においては通用しない可能性が高いと考えられています。
🔁 2. 今サイクルの決定的な3つの違い
✔ 現物ETFの本格始動と“売られにくい”需給構造
2024年1月に米SECが承認した現物ビットコインETFにより、ブラックロックやフィデリティなど大手運用会社がBTCを大量に買い入れ、保有を続けています。
ETFを通じて保有されるビットコインは「ガチホ(長期保有)前提」の性格が強く、過去のようなリテール主導の投機的売却とは性質が異なります。
🔎 IBIT(ブラックロックETF)は2025年6月時点でも1,000〜3,000BTC/日の吸収力を維持。
✔ 国家・企業による長期保有の拡大
- マイクロストラテジーは27万BTC以上を保有
- エルサルバドル政府は法定通貨としてのBTC運用を継続
- 中東やアジアの政府系ファンドも分散投資先として保有拡大中
これらの投資家は「短期売却」ではなく「資産保全・インフレヘッジ」を目的としており、市場における供給圧力は年々減少傾向にあります。
✔ トランプ政権の復活と仮想通貨政策の強化
2025年1月に第47代アメリカ大統領として再び就任したドナルド・トランプ現職政権は、仮想通貨に対して明確に友好的です。
- 仮想通貨マイニングの国内回帰を掲げる
- 中央銀行デジタル通貨(CBDC)に反対し、民間仮想通貨の自由を擁護
- キャピタルゲイン課税の軽減も検討対象に
これらの姿勢は、制度面からビットコイン相場を支える要因となっています。

📉 3. 80%の暴落は起きるのか?リスクと現実的な下落幅
従来型の“サイクル通りの暴落”が起きる可能性はかなり低いと見られます。
なぜ暴落の可能性が小さいのか?
安定要因 | 解説 |
---|---|
長期保有主体の増加 | ETF・国家・企業の保有は売却しにくい |
投資家層の変化 | 個人投資家→機関投資家主体へ |
市場制度の成熟 | 米国や日本での規制整備と、金融商品化の進行 |
トランプ政権の政策後押し | 仮想通貨フレンドリーな法制度と税制の強化 |
ただし、30〜50%の調整リスクは依然として存在します。
たとえば、FRBの利下げ先送りや地政学的リスク(イラン・台湾など)が現実化すれば、市場は一時的な下落を避けられないでしょう。
🌐 4. 今後の価格シナリオ:どこがピークになるか?
🟢 強気シナリオ($150,000〜$200,000)
- 現物ETF流入継続、FRB利下げ、トランプ政権の継続支援
- 上昇スピードは緩やかだが“天井固め型”の相場へ
🟡 中立シナリオ($100,000前後→調整)
- 利下げ先送りとポジション過熱で一時調整(-30〜40%)
- レンジ相場へ移行し、再上昇は2026年以降へ
🔴 弱気シナリオ($70,000割れ)
- 地政学リスク拡大やFRBタカ派継続で機関投資家が静観
- ただし、2018年や2022年のような「仮想通貨の冬」は再来しない可能性大
🧾 まとめ:ビットコインは“サイクル理論”から制度主導へ
観点 | 過去の特徴 | 現在の特徴(2025年) |
---|---|---|
相場主導層 | 個人・マイナー | ETF・国家・企業中心 |
下落幅 | -80%以上 | -30〜50%が現実的な範囲 |
トリガー | 需給過熱・投機 | 金利政策・地政学・制度変更 |
市場成熟度 | 不安定・投機的 | 制度化・金融商品化が進行 |
半減期サイクルは、確かにビットコイン価格の大まかな時間軸を示す一つの指標ではあります。
しかし、今後はそれだけで価格予測を立てるのではなく、制度・需給・地政学・金融政策などを複合的に読む力が重要となる時代です。
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