ビットコインのオンチェーン分析指標とその判断方法

2025年6月2日

ビットコイン（BTC）の市場動向を予測するために、価格チャートだけではなく、オンチェーン分析を活用することが重要です。オンチェーン分析では、ビットコインのネットワーク上で行われる取引やデータをもとに、価格の方向性を予測するための指標を用います。今回は、ビットコインのオンチェーン指標とその判断方法について深掘りして解説します。

1. NVT Ratio (Network Value to Transactions Ratio)

内容:
NVT比率は、ビットコインのネットワーク価値（時価総額）とネットワーク上で送信された取引の価値の比率です。高いNVT比率は、ネットワークの取引量に対して価格が過剰に評価されていることを示唆します。
判断方法:
NVT比率が高い場合（通常、60以上）は、ビットコインの価格が過剰評価されている可能性があり、価格調整のリスクが高まることを示します。逆に、NVT比率が低い場合（通常、30未満）は、市場が割安とされ、価格上昇の兆しが見られることが多いです。

2. MVRV Ratio (Market Value to Realized Value Ratio)

内容:
MVRV比率は、市場価値（時価総額）と実現価値（実際に取引されているビットコインの価格に基づく価値）の比率です。この指標は、ビットコインが過大評価されているか、過小評価されているかを判断するために使用されます。
判断方法:
MVRV比率が高い場合（通常、3以上）は、ビットコインが過大評価されており、売却圧力が強くなる可能性があることを示唆します。逆にMVRV比率が低い場合（通常、1未満）は、ビットコインが過小評価されており、買いのタイミングかもしれません。

3. Active Addresses（アクティブアドレス）

内容:
アクティブアドレスは、一定期間内に送信または受信したユニークなビットコインアドレスの数を示します。これにより、ビットコインのネットワークの使用状況や活発さがわかります。
判断方法:
アクティブアドレス数が増加している場合、ネットワークが活発であり、投資家の関心が高まっている可能性が示唆されます。価格が上昇する前にアクティブアドレスが増加していることが多く、逆に減少している場合は、関心が低下していることを示す可能性があります。

4. Hash Rate（ハッシュレート）

内容:
ハッシュレートは、ビットコインのマイニングネットワークの計算能力を示す指標です。ハッシュレートが高ければ高いほど、ネットワークのセキュリティや強度が向上します。
判断方法:
ハッシュレートが急激に上昇している場合、マイニングが活発であり、ネットワークに対する信頼が高まっていることを示唆します。逆に、ハッシュレートが急激に下がると、マイニングの収益性が低下しており、ネットワークのセキュリティに対する懸念が生じることがあります。

5. UTXO (Unspent Transaction Outputs)

内容:
UTXOは、未使用のビットコインのトランザクション出力で、現在使われていないビットコインの総量を示します。UTXOの数が多いと、取引所やウォレットに保管されているビットコインが多いことを示し、売却する可能性が高いと考えられます。
判断方法:
UTXOの数が多いと、市場に売り圧力がかかりやすくなるため、価格が下落する可能性が示唆されます。逆に、UTXOの数が減少している場合、取引所での取引が活発になり、価格上昇の兆しとして見られることがあります。

6. Supply in Profit（利益中の供給量）

内容:
Supply in Profitは、現在のビットコイン価格で利益を得ているビットコインの供給量を示します。この指標は、売却圧力を予測するために重要です。
判断方法:
Supply in Profitが増加すると、投資家が利益確定のためにビットコインを売却し、価格が下落するリスクが高まります。逆に、Supply in Profitが減少している場合、投資家がまだ売却を控えていることを示し、価格が安定または上昇する可能性があります。

7. Realized Cap（実現時価総額）

内容:
実現時価総額は、各ビットコインが最後に移転された価格を基に計算され、現在の価格ではなく、実際の取引価格を反映します。
判断方法:
実現時価総額が市場時価総額と比較して高い場合、投資家が利益を確定する可能性が高く、売り圧力が強まる可能性があります。逆に、市場時価総額が実現時価総額より低い場合、市場が過小評価されている可能性があり、買いのチャンスと見なされます。

オンチェーン分析を行うための主要サイト

以下のプラットフォームでは、ビットコインのオンチェーンデータを視覚的に確認することができます。これらのツールを使って、ビットコインの市場動向や価格の予測に役立てましょう。

Glassnode
- Glassnodeは、ビットコインや他の暗号資産に関する詳細なオンチェーンデータを提供するプラットフォームです。NVT比率やMVRV比率、アクティブアドレス数など、多くの指標を視覚的に表示しています。
- 公式サイト: https://glassnode.com
CryptoQuant
- CryptoQuantは、ビットコインのオンチェーンデータを提供するもう一つのプラットフォームです。NVT比率やアクティブアドレス数、Supply in Profitなどの指標を表示しており、無料プランでも基本的なデータを取得できます。
- 公式サイト: https://cryptoquant.com

結論

ビットコインのオンチェーン分析を行うことで、市場の動向をより深く理解し、適切な投資判断を下すことができます。各指標の意味を理解し、これらの指標を組み合わせて総合的な分析を行うことが重要です。また、オンチェーンデータを提供する主要なプラットフォームを活用し、ビットコイン市場の動きをリアルタイムで把握することが投資の成功に繋がります。