Consensus 2025 最終日レポート AIとトークン化が描く分散型未来の輪郭

2025年5月16日、トロントで開催されたConsensus 2025最終日。これまでの2日間で提示された「分散型の可能性」が、実装と制度設計の具体性をもって収束していく1日となりました。以下、5つの主要テーマを解説します。


目次

1. AIとWeb3の統合が加速

AIがブロックチェーン上のデータを解釈・意味付けすることで、Web3の実用性が飛躍的に向上する未来が示されました。たとえば、AIエージェントがウォレットを管理し、自律的にNFTを発行・取引するユースケースなども紹介。オンチェーンAIによる*DAO運営、ナレッジ検索の文脈化、AI×スマートコントラクトの融合が注目されました。

*DAODecentralized Autonomous Organization(分散型自律組織) の略で、中央管理者のいない自律的な組織形態


2. DePIN:インフラの分散化

物理的なインフラ(GPS、通信、エネルギーなど)を中央管理なしで維持運用するためのブロックチェーン実装が複数発表されました。IoTデバイスと接続し、利用者がネットワークに貢献することで報酬を得る設計(例:Helium Networkの拡張版)や、*DePINの標準化に向けた業界連携の必要性も議論されました。

*DePIN:Decentralized Physical Infrastructure Network/分散型物理インフラネットワーク)とは、「ブロックチェーン技術を活用して、物理的なインフラを分散型で構築・運用する」という概念


3. トークン化と金融機関の連携

実世界資産(RWA)のトークン化は、伝統金融機関(TradFi)との橋渡しとして最重要テーマに。不動産や国債、プライベート株式などをブロックチェーン上で表現し、24時間グローバルで取引可能な環境構築が進行中。シティ、J.P.モルガン、BlackRockなども具体的な試験事例を報告し、法的枠組みやKYC・AMLとの接続方法も検討されています。


4. ステーブルコインと国際規制の進展

米国で注目される「GENIUS法案」に関連し、法定通貨担保型ステーブルコインのグローバル規制調和が議論の中心に。発行者のライセンス制、準備資産の開示義務、CBDCとの機能的違いなどが争点に。最終日は特に「ユーザー保護と金融包摂の両立」という視点から、民間通貨と公的通貨の棲み分けが論じられました。


5. 総括:意味と価値が交差する新経済圏へ

最終日では、AIによる文脈化(意味付け)、トークンによる価値の可視化、そしてDePINを通じた物理世界との接続という**「意味」「価値」「現実」3つの次元が交差するWeb3の未来像**が提示されました。かつての技術論から一歩進み、「社会実装」や「制度化」を見据えた実用フェーズへの本格的なシフトが始まったといえます。

公式動画はこちらから

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